整体法とは

東洋医学の理論を基本にして、東洋古来の按矯と、武術、さらに現代のカイロプラクティック、オステオパシーなどの長所を採り入れた手技による治療法です。
但し、これは暴力的にやるものではありません。
私たちの整体法には、骨格や関節の調整法のほかに、筋肉操法、リンパ操法、神経反射など、マイルドに自然治癒力を高める方法があり、それらを必要に応じて使い分けていきます。

「運動系」と「内臓系」は影響しあう

人体の構造は、大きく「運動系」と「内臓系」に分ける事が出来ます。
「運動系」とは、骨格・靱帯・筋肉などを指し、「内臓系」とは、五臓六腑をはじめ、諸器官を意味します。
そして、この2つの系は独立したものではなく、脳や神経や循環系を介して互いに連絡し合い、作用し合って生命活動を営んでいます。
つまり、「運動系」のアンバランスが脳や精神活動に異常を及ぼしたり、反対に内臓や精神的ストレスが骨格を狂わせたりします。
特に、脊柱からは多くの神経が出ているので、背骨の歪みは、身体にさまざまな悪影響を及ぼします。

骨格の変位

骨格が変位する原因としては、

  1. 内臓の変調や精神的ストレス
  2. 打撲、捻挫などの外的圧力
  3. 冷暖房による急激な温度変化
  4. 栄養のアンバランス
  5. 職業や習慣による特定姿勢の持続
  6. 薬害
  7. 加齢に伴う老化

などがあります。
「骨格の変位や変化」と言う場合、骨自体の変化(骨棘や骨粗鬆症など)を言う場合と、骨以外の靱帯や軟部組織をも含めた「骨組み」の異常を意味する場合があります。
臨床の場では、五十肩やギックリ腰で、レントゲンで明らかに骨自体の変化が認められる事よりも、靱帯や椎間板の異常、つまり「骨組み」の変化が原因と思われるケースの方が多いものです。

骨格の変位イコール発症・・・とは限らない!

「骨組み」や「骨格」の変位・変化が、痛みやシビレなどの知覚異常や、内臓器官の機能的・器質的変化として、即現われる人もいれば、自覚的にも他覚的にも何ら異常を見出せない人もいます。
それは、人体の生理学的な仕組みに秘密があるのです。
人体の関節や皮下には、「小体」があり、さまざまな小体が関節にかかる圧力を分配したり、温覚や痛覚をコントロールしています。
つまり、骨格変位が起きると、これら小体が凝集し、血液や体液の循環が不良となり、乳酸などの老廃物や、二酸化炭素を蓄積させ、同時に必要な栄養物や酸素の供給が十分に行なわれなくなります。
この異常が神経に作用し、身体が警告反応を起こし、痛みや異常感覚となって現われるのです。

つまり、

骨格の変異→小体の凝集→血液や体液の循環不良→神経に作用→発症

と言う生理的メカニズムがあるのです。
そのために、「骨格の変位イコール発症」とならないケースも出て来る訳です。

「気血」の流れを良くする

「骨格の変位イコール発症」とならない説明は既にしましたが、逆に言うと、骨格変位があっても、小体・血液・神経のどこかで異常をストップさせれば発症しないですむと言う事です。
更に言うと、骨格の変位が認められなくても、小体・血液・神経レベルで異常が起これば、発症するのです。
これらの現象を、東洋医学的に表現すると「気血の流れがスムースであるか否かが発症の要因である」と言う事が出来ます。
東洋医学的に見ると、痛みや異常感などの病気の源は「気の変動による病」です。
整体法では、関節や筋肉を操作する事で、骨格や靱帯の変位をその人なりのバランスの中で正すと同時に、小体の異常や血液・体液の循環障害を正常に復する事を目的としています。
つまり、「気」の働きを良くする事が目的であり、単に背骨や骨格を真っ直ぐにする事が目的ではないのです。

からだの観察・・・三法則

整体法では、からだの「かたち・動き・強さ」の三大要素を観察して、その人にあったバランスをとるように調整します。
zu-2
脊椎を例にとって、「かたち・動き・強さ」を説明します。
zu-3