東洋医学

現代西洋医学に対して…。

現代西洋医学に対して、中国ほかインドやアジア全体の医療を”西洋”に対する東洋医学と言う事が多いです。
しかし、多くの方が東洋医学と言うと、鍼灸や漢方薬、整体、按摩・指圧、気功などを想像する方 が多いのではないでしょうか?
具体的な療法は様々ですが、その考え方の根幹には氣の思想があります。
『氣の思想』とは、宇宙の生成から生命現象に至るまで、全て『氣』を根底において理解・解釈 する考え方です。この『氣』は、目には見えないけど、確かにあると思われる、事物のはたらきを表します。
東洋医学では、人間を生命力のある生活体として捉えてきています。その生命力の源が『氣』で あると言っても良いかも知れません。
『荘子』は『人の生は氣の聚(あつま)りなり、聚(あつま)れば生となり、散ずれば死となる』として、 『氣の思想』に基づく生命観を確立しました。
そして、病は『氣』の鬱滞が原因であると考えています。
その『氣』の滞りを改善する事を目的として、東洋医学は発展して来ました。
また、人は生きていくために必要な食物や水、空気も全て自然界に頼っています。
これらは天と地の産物であり、人間の生命活動の源泉は、天と地からなる大自然(大宇宙) にあると言えます。
そして、人の生命体を大自然(大宇宙)の一環として捉える見方に基づいて、 人体内部の仕組みも、一つの小自然(小宇宙)として考えています。
人体のそれぞれの臓器や組織・器官は、異なった機能を持ちながら、同時に全体として有機的 につながりを持った一つの自然(宇宙)のような統一体をなしていると考えます。
つまり東洋医学では、統一体である人体のバランスを整え、『氣』の滞りを改善する事で、 本来の整体(整った体)に復せしめる事を目標に治療にあたります。
そうする事で、患者さんの 本来持っている『自己治癒力』を引き出してあげる事が大切なのです。
そう言う点で、東洋医学の特徴は、未病(みびょう)を治すとも言われます。
この考え方は、今で言う予防医学にあたります。病気になった時に治療するばかりではなく、 病気になる前に本来の統一体に整えておく(予防する)事で、元気に生活が送れるように 手助けする事も、その特徴の一つです。『手当て』と『手入れ』と言っても良いかも知れません。
『手当て』は、調子を崩した今をどうするかが求められます。 一気に治療にあたらなくてはならない事が多いと思います。 逆に『手入れ』はいわゆる『メンテナンス』です。定期的に全体をチェックする事で、いつでも調子 の良い状態を維持する事を目的とします。 そう言う両面を持つのも、東洋医学の特徴と言えるでしょう。