鍼灸の施術が文献的に初めて記載されたのは、紀元前400年(前漢時代)頃に書かれた、『黄帝内経(こうていだいけい)素問(そもん)・霊枢(れいすう)』です。
素問(そもん)では、病気の成り立ちや病理・生理など基礎医学的な事が述べられています。
また霊枢(れいすう)では、治療原則や実際の方法など臨床的な事柄が多く書かれています。
鍼灸の歴史についての記載では素問の中の『異法(いほう)方宜論(ほうぎろん)』に鍼療法は南方に起こり、湿邪による痛み対する治療法として、九種類の鍼が紹介されています。
また、お灸は北方で始まったとされています。これは寒さが原因で起こる血行不良に対して、身体を温める療法として発達したとされています。
中国大陸の広大さからか、その地域の自然環境に合わせた療法が発達したと思われます。 因みに、東方では、へん石(へんせき)と言う石メスで切開する方法が起こりました。 これは、海岸部で魚介類を多く食し、塩分も多く摂る為にオデキが出来てしまい、それを切開するために発達しました。 西方では、湯液(とうえき)(今の漢方薬)が発達しました。
中央では、導引(どういん)按矯(あんきょう)(按摩)が発達したと言われています。 数千年前にすでに人体について様々な観察が行なわれ、現代でも通用するような治療法があったと言う事は、驚くべき事です。