乾癬のこと・アトピーのこと――副腎皮質ホルモン(ステロイド) その5

前回、副腎皮質を工場に喩えました。

乾癬など皮膚の炎症を抑える為のホルモン製品】は、副腎皮質工場】で作られる。

その為にはコレステロールとビタミンC・ビタミンB群材料】が必要である。

極めてシンプルな仕組みですね。

しかし、その工場において最も大切な事があります。

それは『その工場が果たして動いているのか?または動くのか?』と言う問題です。

 

工場が動いて製品が出来るには、3つ必要な事があります。

一つはその工場ないしは製造ラインが壊れていないこと。

その問題が無ければ、その工場を動かす電源が確保されているか?が二つ目になります。

そして三つ目は、製造ラインを動かす命令が必要なのです。

この三つが揃わないと、幾ら材料を持ち込んでも、製品はできて来ません。

 

一つ目の『壊れていない』とはどういうことでしょうか?

これは先天的または後天的に副腎のトラブルがあり、機能しない事が考えられます。

この場合、ご自身ではホルモンを作ることが出来ないので、お薬で調整する事が必要です。

それ以外ですと、副腎は壊れてはいないが、疲れていたり、暫く動いていない【一時帰休】為に、

正しく動かないと言うことが考えられます。

壊れてはいないけど、働きは悪い・・・生産能力が低い・・・と言うことはあり得るかも知れませんね。

この部分は三つ目の『動かす命令』とも関わるので、後ほど説明します。

 

二つ目の『電源の確保』。

これは体内では『血液』です。

『血液』が十分に副腎に供給されることが必要になるのです。

つまり『血流が良い』とか『血行が良い』と言う事でしょうか。

 

三つ目の『動かす命令』とはなんでしょう?

ホルモンの分泌は、上位ホルモンから下位ホルモンへと階層的に支配されている。

急に難しい表現ですね・・・(苦笑)

副腎皮質ホルモン【下位ホルモン】の分泌を促すホルモン【上位ホルモン】があると言うぐらいの

ニュアンスで捉えて戴ければ良いと思います。

 

副腎皮質ホルモンの場合、脳の『視床下部』および『下垂体』と言う所から命令が出されます。

視床下部から【副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRH)】が分泌されます。

そしてそれを受けた下垂体前葉から【副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)】が出されます。

そのホルモンは血液に乗って副腎皮質に届き、副腎皮質が【副腎皮質ホルモン】を分泌。

 

とても几帳面な仕組みですが、これが瞬時に行われ、しかも自動的に【自律神経支配】行われているのです。