前回、副腎皮質を工場に喩えました。
乾癬など皮膚の炎症を抑える為のホルモン【製品】は、副腎皮質【工場】で作られる。
その為にはコレステロールとビタミンC・ビタミンB群【材料】が必要である。
極めてシンプルな仕組みですね。
しかし、その工場において最も大切な事があります。
それは『その工場が果たして動いているのか?または動くのか?』と言う問題です。
工場が動いて製品が出来るには、3つ必要な事があります。
一つはその工場ないしは製造ラインが壊れていないこと。
その問題が無ければ、その工場を動かす電源が確保されているか?が二つ目になります。
そして三つ目は、製造ラインを動かす命令が必要なのです。
この三つが揃わないと、幾ら材料を持ち込んでも、製品はできて来ません。
一つ目の『壊れていない』とはどういうことでしょうか?
これは先天的または後天的に副腎のトラブルがあり、機能しない事が考えられます。
この場合、ご自身ではホルモンを作ることが出来ないので、お薬で調整する事が必要です。
それ以外ですと、副腎は壊れてはいないが、疲れていたり、暫く動いていない【一時帰休】為に、
正しく動かないと言うことが考えられます。
壊れてはいないけど、働きは悪い・・・生産能力が低い・・・と言うことはあり得るかも知れませんね。
この部分は三つ目の『動かす命令』とも関わるので、後ほど説明します。
二つ目の『電源の確保』。
これは体内では『血液』です。
『血液』が十分に副腎に供給されることが必要になるのです。
つまり『血流が良い』とか『血行が良い』と言う事でしょうか。
三つ目の『動かす命令』とはなんでしょう?
『ホルモンの分泌は、上位ホルモンから下位ホルモンへと階層的に支配されている。』
急に難しい表現ですね・・・(苦笑)
副腎皮質ホルモン【下位ホルモン】の分泌を促すホルモン【上位ホルモン】があると言うぐらいの
ニュアンスで捉えて戴ければ良いと思います。
副腎皮質ホルモンの場合、脳の『視床下部』および『下垂体』と言う所から命令が出されます。
視床下部から【副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRH)】が分泌されます。
そしてそれを受けた下垂体前葉から【副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)】が出されます。
そのホルモンは血液に乗って副腎皮質に届き、副腎皮質が【副腎皮質ホルモン】を分泌。
とても几帳面な仕組みですが、これが瞬時に行われ、しかも自動的に【自律神経支配】行われているのです。