多くの方が『乾癬』や『アトピー性皮膚炎』で検索して下さった結果、『テアテ・マンドール』と言う言葉を初めて目にすると思います。
乾癬やアトピー性皮膚炎を改善させる手技療法として、私だけではなく、他の先生方もホームページやfacebookでお知らせしています。
果たして『テアテ・マンドールって何??』と言うのが、皆さんの感想でしょう。
そこで、ここではテアテ・マンドールの事をもう少し詳しくお話をしてみたいと思います。
テアテ・マンドールの沿革
『テアテ・マンドール』と言う名称が正式に世に出たのは1998年フランスにおいてです。
創始者である三戒堂水宝先生がフランス政府に『国際テアテ・マンドール協会』として認可申請をしたのが始まりです。
では三戒堂先生はどうやってこの手技療法を確立されたのでしょうか?
講義で聞いた話ですが、先生にも師匠がいらっしゃったそうです。
1971年当時、先生は腰を傷めており、その事で紹介された治療所で出会った治療家の先生から伝授された技術をベースに、研鑽研究を重ねて現在の形を作られたそうです。
その先生は『坂井しず』と言う女性の先生です。
坂井先生は満州のラマ寺院で施術を受けて以来その道に進まれ、終戦まで満州で施術を行っていたそうです。
帰国後、都内で施術を行っておりましたが、弟子希望があっても弟子をとらずにいたそうです。
しかし三戒堂先生が腰痛で治療所に伺った際、『あんたが弟子だよ。』と仰られ、半ば強引に坂井先生の技術を伝授されたと話されていました。
元々は絵描きを生業としていた三戒堂先生ですので、習った技術は時々頼まれて治療をするぐらいだったそうです。
しかしフランスにいる時に、乞われて治療を行い、さらに弟子まで希望する人も増えたそうです。
今は分かりませんが、当時のフランスでは仕事として行う場合、正式に政府に許可申請をする必要があるということで、弟子10人と共に国際テアテ・マンドール協会の設立に至ったそうです。
テアテ・マンドールの意味
『テアテ・マンドール』とは何語でしょう?
『テアテは手当?』『マンドールって何?』そんな疑問が出ますよね。
私も同じように思いました。
『テアテ』は昔から日本で治療や慰安を意味する『手当て』から来ています。
しかし『手充光』と言う当て字をしています。
これは血管内に鉄分を含む血液が流れることで、電流が発生し磁場が出来ることで磁力線が放射されているという説から、『人間の体からは磁力線≒光の一種が出ている』と言う捉え方をされて字を当てたそうです。
また『マンドール』とは『Mains d’Or』と言うフランス語から来ています。
『Mains』は手、『d’Or』は金と言う意味で、『黄金の手』と言う意味となっています。
手技全体が器具や道具を使わずに、指先を使って施術することから、先生は『指先からの光を体内に差し込む』と表現されており、そこから『テアテ・マンドール』と言う名称が出来たようです。
日本名は別にあり『三戒堂方式手充光健康喚起方法』または『整体手療術三戒堂方式手充光健康喚起方法』と表記しますが、今ではこれを使うことはなくなったと思います。
テアテ・マンドールの特徴
元々は乾癬やアトピー性皮膚炎のための施術ではありませんので、身体の不調を訴える方の手助けになることを目的としているので『健康喚起』と言う言葉をいれています。
また手技の方法と、先生の人体への考えから、以下の3点を特徴としてあげられています。
- 手指から放射される光を体内に差し込む。
- 細胞に電気的刺激(光)を与え、体内の流動力を高めるために、詰まっているゴミを押し出してやる。
- 細胞のそれぞれの意識に正常なハタラキになるよう語りかける。
テアテ・マンドールのによる刺激を加える部位から見た時、背骨のそばへの刺激は神経的刺激となり、その他の部位では、骨や関節の際や筋肉の境目などへの刺激による、ポンプ作用による血流改善を促しているのではないかと、私は考えています。
テアテ・マンドールと乾癬
ほとんどの方が『テアテ・マンドールは乾癬の治療法』と言う認識だと思います。
かくいう私も皮膚疾患を治したくて、技術習得の為に北海道まで毎日曜日に通っておりました。
しかし実際には乾癬をはじめとする皮膚疾患のみの治療法ではありません。
腰痛や肩こり、首の強張りや背中の痛み、はては内臓的な違和感も効果があります。
先生自身も乾癬に出会ったのはフランスが最初で、それ以来さまざまな偶然で乾癬や魚鱗症の患者さんを施術する機会が増え、そこから今のような『テアテ・マンドール=乾癬』と言う認識が広まったように思います。
施術の見た目はマッサージか指圧に似ているように見えます。
しかしマッサージや指圧で皮膚疾患が改善したと言う臨床例は、ほとんど聞かないと思います。
その点から、テアテ・マンドールの手技療法は極めて特殊なものだといます。
またこの療法によって、乾癬が改善に向かうということから、乾癬そのものが『お肌のトラブル』と言う分野には無いと言うことを意味すると思います。
過去のブログの中でもお伝えしておりますが、内臓…特に副腎と言う臓器との関連があると思います。
副腎は炎症とストレスに関して働く臓器なので、その辺りが乾癬を克服するキーポイントになると思います。
テアテ・マンドールの可能性
先にもお話ししたように、乾癬に対応するようになったのは、テアテ・マンドールの応用編のようなものです。
しかし今では、肩こりや腰痛でテアテ・マンドールの施術を希望していらっしゃる方はほとんどいません。
私自身、鍼灸と言う治療を中心に開業をしましたので、いらっしゃった患者さんに合わせて鍼灸を使うこともあれば、テアテ・マンドールを使うこともあります。
ここでは先にお話をした『テアテ・マンドールの特徴』とは別に、治療技術的にみた特徴をお話ししながら、多くの方が困っていらっしゃる肩こりや腰痛などに対する、テアテ・マンドールの可能性をお話ししたいと思います。
患者さんに聞かれてお答えすることでもあるので、次のような技術的な特徴があると考えております。
- 揉み返しがほとんど起きない。
- 刺激量が弱い。
- 内臓の治療となる。
- 不妊治療や月経トラブルに期待できる。
- スポーツや舞台など、本番前に行っても身体を緩めすぎない。
- 精神的なトラブルにも効果が期待できる。
まだあると思いますが、次ではこれらをもう少し詳しく説明したいと思います。
揉み返しがほとんど起きない
マッサージや指圧を受けた後、または翌日に『揉み返し』と呼ばれる筋肉痛のような状態になったことは無いでしょうか?
副反応とか好転反応と言う説明がなされることが多いと思います。
漢方薬でも『メンゲン反応』と言われ、改善前に起こるある種の症状悪化の状態を指します。
確かに風邪を治そうとした時に、あえて体温を上昇させてウイルスを死滅させようとしたり、ウイルス性腸炎に罹患すると腸への負担を減らすために、嘔吐と下痢を起こして胃腸内に留まる食物を排泄させることもあります。
これは投薬や治療をしなくても、身体が自然と治癒に向かうための一種の好転反応とも言えるものです。
しかし身体、特に筋肉への刺激は場所を間違えたり、刺激量の強弱によって、ある種の肉離れを起こしてしまうことがあります。
刺激を受けた時は大したことが無いと感じていても、身体はそれを修復しようとするので、翌日に筋肉痛のような状態を引き起こします。
それらを『揉み返し』と言っていることがほとんどではないでしょうか?
テアテ・マンドールは刺激を加える場所が特徴的です。
筋肉の盛り上がっているところ、いわゆる筋腹を刺激することは、ほとんどありません。
その両端、腱や靭帯になっているところを中心に刺激を行います。
腱や靭帯は筋肉そのものよりもかなり丈夫です。ですから同じ刺激の強さでも、破壊されることはほとんどありません。
その為、揉み返しがほとんど起きないようです。
まれに翌日に刺激が残っているように感じると仰る方がいます。
この方に詳しく伺うと、痛みが残っているというよりも、いつもと違う位置にあるような違和感があるという風に仰います。つまり、今まで身体が覚えていた感覚と異なるため、『刺激が残っている』と仰るようです。
刺激量が弱い
これは施術する時の姿勢やポジションによると思います。
テアテ・マンドールはほとんど座ったままで施術を行います。
患者さんが寝ていらっしゃるベッドの脇に腰掛けるか、椅子に腰かけて行うため、指先に体重を掛けることが出来ない状態で行うので、力の入らない姿勢のため、刺激量は弱いと思います。
一部、腰と仙腸関節にテアテを行う時は、立ち上がります。これは角度が取れない為に立ち上がるのであって、加重するためではありません。
しかし施術を受けた多くの方が『痛い!』と仰います。
刺激の強さは弱くても、身体の状態が悪ければ滞りがあるので、患者さんは痛いと感じるようです。
その証拠に、改善してくるとほとんどの方が施術中に眠くなるようです。
治療の最初に『改善してくると眠る方が多いんですよ。』と伝えても、ほぼ誰も信じてくれません。
しかし現実には改善まで通われた方は『今日は眠りに来ました!』などと冗談も仰るぐらいです。
内臓の治療となる
これは乾癬が改善するということと、刺激部位が背骨の際(脊際)が中心となる為、そう考えています。
背骨には脊髄と呼ばれる、脳から出る神経線維の束が通っております。そして一つひとつの背骨(椎骨)の繋ぎ目から脊髄神経と呼ばれる、末梢神経が内臓をはじめ、様々な部位に行き渡っています。
テアテ・マンドールではその神経の出口、または入口を刺激するため、神経を介して内臓へ刺激が行くのではないか?と推察しております。
鍼灸でも、背中には各臓器の『ツボ』と呼ばれるものが一通りあると言われています。そのツボを介して内臓の治療を行うのが鍼灸療法です。
テアテ・マンドールでは鍼灸のツボとは異なりますが、西洋医学的な神経根への刺激が神経刺激となって、内臓の回復を期待できるのだと思います。
不妊治療や月経トラブルに期待できる
三戒堂先生は『尻曲り』と言う表現をされますが、骨盤の歪みを修正することで、女性の問題を解決できると仰っております。
テアテする場所が仙骨や仙腸関節にあるので、鍼灸でいう子宮卵巣のツボに近いと思います。
また子宮や卵巣は骨盤内で『蚊帳(かや)』のように靭帯で吊られています。
家が傾けが蚊帳も傾くのと同じで、骨盤の歪みは子宮卵巣の傾きとなり、妊娠がしにくくなったり、月経も辛いものになったりします。
月経のトラブルについては女性だけのお話ですが、不妊については最近は男性のことも考慮しなければならず、お二人を合わせて診させて戴くことが多くなりました。
スポーツや舞台など、本番前に行っても身体を緩めすぎない
これは実際に当院でのケースですが、部活で試合の前日にお越しになり、それまでの疲れの回復だけでなく、身体のパフォーマンスも上がるということを、仰っていただくことが多いです。
役者さんや俳優さんでは、本番前に抜け出して来たり、または往診に伺って施術をさせて戴きますが、身体が思う通りに動くようになると仰って戴きます。
たぶん、先にお話しした『揉み返しがほとんどない』ことに起因すると思います。
刺激を加える部分を損傷することなく施術を行えるので、直前でも安心して受けられるという心理的面と、
実際に筋腹を触らないので、肉離れ的なことが起きないからでしょう。
精神的なトラブルにも効果が期待できる
これは最近の方に多く見られる傾向ですが、施術を続けていると精神的な不安感やイライラ、場合によっては減薬できたという話を多く聞くようになりました。
理由はハッキリとは分かりません。
精神的な問題は、一般的には脳内での神経伝達や、脳内のある部分の過活性によるものとされています。
そのため、投薬で神経伝達物質のコントロールをしたり、カウンセリングを受けたりして、ご自身の状態を認知して行動を出来るようになる訓練をすることが一般的です。
あえてテアテ・マンドールの効果を考えるならば、背骨の際を刺激することに意味があるのかも知れません。
頭と仙骨からは、副交感神経が出ています。
胸と腰からは、交感神経の中継基地がそばにあります。
『背骨の際=神経根』と言うことで、『内臓の治療となる』と説明をさせて戴きました。
同様に『背骨の際=自律神経(交感神経・副交感神経)』と言う図式が考えられるのかも知れません。
この辺りは今後の調査と研究課題ですが、大いに期待できるところではないかと思います。
また乾癬やアトピー性皮膚炎の治療においては、『副腎』を修理修復する事を目的とし、それが達成できた場合には、副腎から十分なステロイドホルモンが出るようになります。
ステロイドホルモンは『抗ストレス作用』がありますから、テアテを行うことで副腎が活性化すれば
ストレスへの対応がよくなり、精神的なトラブルの解決の一助なっているのかも知れませんね。
乾癬の方や精神的なトラブルの方に対して『副腎は福神ですから』と冗談のようにお伝えすることがありますが、福の神のごとき穏やかなお気持ちになる方多いようです。