乾癬のこと・アトピーのこと――副腎皮質ホルモン(ステロイド) その2

患者さんご本人の副腎皮質(ふくじんひしつ)ホルモンが十分に出るには、どうしたら良いのでしょうか?

副腎皮質ホルモンが出るメカニズムはどうなっているのか?をもう一度確認してみました。

 

まず『副腎(ふくじん)』と言う臓器は何処にあるのかご存知でしょうか?

名称から推測すると、腎臓に関連がありそうに思えますね。

副腎は腎臓の上端に接している、扁平な三角形をした器官なのです。

腎臓も二つありますが、副腎も左右に1つずつあります。

その大きさは、長さ2.5cm、幅2センチ、厚さ0.6cm、重さ5gぐらいの大きさです。

かなり小さい器官ですね。

副腎は英語で【Suprarenal gland】

Supraは「上の」とか「上に」の意味。 Renalは「腎臓の」。 Glandは「腺」。リンパ腺とか扁桃腺の腺です。

つまり『腎臓の上の腺』と言う意味です。

腎臓は水分の調整に関係しますが、副腎はあくまでも「腺」なので、ホルモンの分泌が主な働きです。

決して腎臓のサブ(副)ではありません。

 

□副腎皮質ホルモン

 

            電解質コルチコイド(顆粒層) ―― アルドステロンなど

  副腎皮質    糖質コルチコイド (束状層) ―― コルチゾール、コルチコステロンなど

            副腎アンドロゲン (網状層) ―― デヒドロエピアンドロステロンなど

 

名称などは覚えなくても良いと思いますが、副腎皮質ホルモンと言っても数種類あると思って下さい。

この中で、乾癬治療に関係するのは『糖質コルチコイド』です。

細かくなりますが、ホルモンはその化学構造によって、【ポリペプチド型】【ステロイド型】【アミン型】の

3種類に分けられます。

ステロイド型は、性ホルモンや副腎皮質ホルモンが該当します。

その為に副腎皮質ホルモンの事を「ステロイド」と呼ぶようになったのではないかと思います。

因みに、副腎髄質ホルモンはアミン型で、他には甲状腺ホルモンがあります。

ポリペプチド型は、インスリンや消化管のホルモンが多いようです。

糖質コルチコイドには主に5つの働きがあります。

 

物質代謝に対する作用――肝臓で糖の新生を促進し、血糖値を上げる。蛋白質分解の促進。

抗炎症・抗アレルギー作用――炎症やアレルギー症状を抑える。

許容作用――カテコールアミンの脂肪分解の補助。

胃に対する作用――胃酸や酵素(ペプシン)の分泌促進、粘液分泌の抑制。(注1)

抗ストレス作用――種々のストレス刺激に対する抵抗力を高める。(注2)

 

乾癬の治療で外用薬や飲み薬を使う理由は、上記の②にあったのです。

つまり、自分の糖質コルチコイドが炎症やアレルギー症状を十分に抑えてくれていれば、乾癬は発症しないと推測出来るのです。

十分に抑える為には『必要な量がある』と言う事が第一になります。

ここので『必要な量』とは、『十分な量のホルモンが産生されているか?』と『産生されたホルモンが抗炎症・抗アレルギー作用に足りるか?』ではないかと思います。

この辺りの事を、もう少し詳しく考えてみたいと思います。

 

注1:糖質コルチコイドが長期間増加すると胃潰瘍を起こしやすいと言われています。

注2:ストレス刺激が糖質コルチコイドの分泌を促します。

   つまりストレスが多ければそれだけ分泌量が増えると言う事です。

   これは乾癬治療において、大きな問題を含んでいます。